3年以内離職率30%?
3年以内離職率30%!新卒採用市場において、盛んに取り沙汰されてしばらく経つこのキーワードには、そろそろ聞き慣れてしまった方も多いかもしれません。
昨今では長時間労働や休日出勤といったいわゆる“激務”が社員の身体に大きな影響を及ぼすとされ、働き方が見直されつつあります。高い離職率もまた、企業の社内環境、労働時間とも強く結びつけられるようになりました。
こうした課題に対し、各企業個別の取り組みから国を上げての施策まで、解決に向けての多岐にわたる活動が行われていますが、依然として改善は見られません。それどころか、実はこの3年以内離職率30%という数値は、20年前の1990年代からほぼ横ばいにあることをご存知でしょうか?
今回は、こういった流れの中でも3年以内離職率5%以下を誇る、ある企業の経営者にお話をお聞きしました。
その中小企業は埼玉県の地元に根づいてレジャー施設を展開しており、企業規模もそれほど大きくはありません。また、娯楽業界は学生から「うるさそう」「大変そう」とイメージ先行で謙遜されてしまう上、その忙しさから業界での3年以内離職率は45%を超えると言われています。
こういっては何ですが、決して多くの学生を惹きつけるようには思えません・・・
しかし、入社したほとんどの社員が、その企業でキャリア設計を行い、働き続けることを選んでいます。社員に長く働き活躍してもらうための秘訣を、社長は”おおらかな表情”で語りました。
学生の時って、学校を1日休んだりアルバイトを辞めたりすることは、とても簡単ですよね。
でも社会に出たらそうはいかない。
だから自分が思ったように仕事ができなかったとか、仲良く出来ない上司・同期がいるとか、そういう課題に対して色々なこじつけをして離職しようとしてしまうんです。
でも私たちは、一つひとつ壁を乗り越えられるように悩みを共有し、一緒に解決していけるように向き合っています。
社員がスキルアップを目指したいと思っているのなら、手に職をつけるための資格取得支援を行わなければいけないですよね。また、もし2、3年後の将来が見えないなら、キャリアパスを描ける研修を導入するでしょう。
社員の声に耳を傾けることと、その時々によって取り入れるべき社内制度や研修内容は変わります。
社会人への階段は、一歩ずつ上らせてあげたいと語る社長を、みなさんは甘いと思うでしょうか?
離職する社員の後ろ姿を見送るとき、皆さんは“ポテンシャル採用”と呼ばれる新卒採用が投資にかける時間を多く必要とすることを、頭の片隅に追いやってしまっていませんか?
今日では「ホワイト企業」「優良企業」などのキーワードに敏感になり、規模や業界・業種問わずほとんど全ての企業が競うように社内制度の整備を行ってきました。
しかし、ここ数年どころか20年以上前から現在まで3年以内に離職する社員が後を立たないという事実は、私たちに「ただ社内制度を整えたらそれでよいのか?」という疑問を投げかけています。
私たちには今一度、最近まで一介の学生だった社員に少しでも寄り添い、おおらかになってみる時間が必要かもしれません。