『労働生産性』とは
労働者一人あたりの生み出す成果であり、付加価値(粗利)/労働投入量(残業を含む労働時間)によって算出されることが、経済産業省でも定められています。
政府の打ち出した働き方改革の一つ『生産性向上』に向けて、皆さんの会社ではどのような取り組みをされているでしょうか?
日本は生産性が低い!と言われていますが、データ上でも主要7カ国(G7)において最下位という結果が出ています。
ちなみに…『労働生産性』とは、労働者一人あたりの生み出す成果であり、付加価値(粗利)/労働投入量(残業を含む労働時間)によって算出されることが、経済産業省でも定められています。
たとえばA社では付加価値100に対し労働投入量100とします。この場合の労働生産性は1ですが、付加価値50に対し労働投入量25のB社は労働生産性が2であり、後者の方が労働生産性が高いと言えます。
この数値の改善が求められる現在、社員のワーク・ライフ・バランスを重視しなければならない一方、存続するためには利益を生み出さなければならず、この問題に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?
今回は業界の常識を打ち破る革新的な戦略で、『生産性向上』を成功させた企業の事例を見ていきます。
A社は有名観光地にてホテルを経営しています。年中無休で営業しており、食事や掃除、お出迎えなど日本のおもてなし精神にならった多くの業務があり、多大な人件費に悩んでいました。この365日24時間営業は、客室の稼働率を上げ売上を伸ばすための宿泊業界に従来から続く伝統的な経営スタイルです。そのため業界全体において長時間労働と離職・人材不足が繰り返され、『生産性』も決して高くありません。A社もその中の一社でした。
そんな中、A社は利益率改善のため経営方針を『売上ではなく利益重視(MQ会計の導入)』に変え、毎週水・木曜日の定休日を導入しました。従来の宿泊業界の考え方を一新した施策により、シフト制を無くしたのです。
観光地であるため土日の稼働率は良いですが、平日は振るわなかったという背景もありました。この仕組みの導入により、2つの大きな変化が起こりました。
1つ目は、シフトによりその日そのメンバーごとに分担していた様々な業務を、食事なら食事、掃除なら掃除と各社員に特化してもらう分野を定めることにより、精度の高い業務の標準化に繋がったことです。作業能率だけでなく、各社員によってバラつきのあった隙間時間もなくなり、高い密度で仕事が出来るようになりました。
2つ目は、業務が円滑になったことからお客様の総合的な満足度が向上し、リピーターが増えたことです。また、固定の社員にファンがついた場合も、以前のようにお客様に合わせたシフト調整も必要ないため、お客様はその社員にいつでもまたお会いできるという状態を実現しました。
この結果、短期的な売上は落ちたものの、業績は順調に右肩上がりを続け、社員の労働時間の削減と利益の増加に伴い、『生産性向上』が実現しました。合わせて定休日を定めたことや利益率の改善により、社内の雰囲気も以前よりも良くなり、離職率も下がり、優秀な人材が定着するようになっています。
スペシャリスト型に特化したことにより社員のサービス品質が大きく向上したのは一目瞭然です。
しかし、一方でゼネラリスト型ではなくある一つの業務に特化させるスペシャリスト型の人材育成には、社内全体を見ることの出来る社員が育ちにくくなるといったデメリットもあります。こういった面も鑑みつつ、御社にとって最適な仕組みを考えることが大切です。
上記はほんの一例であり、皆さんの会社が属する業界とは全く異なる世界に感じるかもしれませんが、他社や世の中がどんな取り組みを行っているかにちょっと目を向けることで、皆さんの会社の組織改善のヒントが見つかるかもしれません。
「生産性が上がらない」という本質的な問題やその解決策は企業ごとに大きく異なるため、問題の把握と最適な解決策とをセットにして行うことが必要不可欠です。当然のことですが、問題が違えば解決方法も毎日の小さな工夫から大規模な制度改革まで様々です。
もし御社にも『生産性向上』に繋がるようなお悩みがありましたら、意外な社内の仕組みが原因となっているかもしれません。お気軽に無料相談ください。『生産性向上』は単純な利益の増加だけでなく、企業体質の改善や社員満足度の向上にも繋がります。一緒に考えていきましょう。